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スコシの領分

日野裕太郎氏の中・短編集『スコシの領分』は、第十三回文学フリマで購入した。

http://horn.kemo.boo.jp/?eid=948233

タイトルと同名の中編『スコシの領分』、これは旅モノであった。

人形は人間の形をまねた物だが、同時に理想の人間の姿でもある。なぜなら人間が人形を造るとき、あえて不完全なものを造ろうとはしないからだ。職人がおもいえがく理想をかたちにした人形に、人は完全性を見る。人は完全な存在に近づこうとし、人形をまねさえする。しかし完全な人間などいないし、完全にはなれない。

スコシは人形みたいだ。スコシに足りないものがあるとすれば、それは人間を不完全たらしめる欠落だろう。欠落それ自体が足りないのである。作中、主人公であるスコシは、極めて人間くささが排除されて描かれている。そして、完璧に穢れのない理想的な存在である彼女の曇りのないまなこを通して描かれるのは、不完全で、人間的な人間たちの姿である。人形とひとしく理想的な彼女の目には、みなどこか欠落した人間たちが、哀れに映る。

両親とスコシの三人でひたいをつき合わせ、スコシを生贄にすることについて夜通し話し合うシーンがあるのだが、すさまじくて心が黒くなる。人間のむき出しのマイナス面がどぐろをまくようである。普段は思っても言わないことを言わせる、それが小説なのだ。これが小説のおそろしさなのだ…。

しかしそんなおどろおどろしさも、村から離れるにつれて薄らいで、湖が近づく頃には、吹き付ける冷たい風が心につもった澱をどこかへ飛ばしてくれる。旅があるおかげで、どろどろしたものを最後まで溜め込んでおかずに済む。はじめに、この作品が旅モノだと僕が述べたのは、そういう理由からである。

テーマ:同人小説 - ジャンル:小説・文学

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