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ムーたち

榎本俊二の「ムーたち」は、その絵柄と同じくらい物語も大好きな作品である。「ムーたち」の物語は理屈の物語だ、と、もれは解釈している。もれは物語という物にたいして、感情論ももちろん嫌いではないが、骨格は理屈で固められていること、そして様々な問題が最終的にそれなりに整合した理屈で解決されることを望んでいるのだ。だから「ムーたち」の物語は好きである。

1話がたった4ページという極限までシェイプされた構成には、機能美と共に強さを感じる。もれは物語の物語たる強さ、強度というのもについて日頃から考えていて、いまだ決定的な答えは出ていないのだが、「ムーたち」を読んでいると、この漫画にはなにか一つの答えがありそうに思えてくる。

もれの考えている物語の強度って何の話よ、ということを少々説明しておかないと何のことやらということになりそうなので少し書くが、しかしうまいこと説明するのが難しい。例えて言うなら(本当はたとえ話は好きではないのだが止むを得ない)、壁の壁たる強度って何か、という話をすると、どんなに撃っても壊れないということももちろん大切だが、それ以上に、それがどれだけの人にとって壁であるか、そしていつまで壁であり続けるかが、重要ではないかと思う。したがって一流の大工がつくった壁は、おそらく強度のある壁なのである。逆に、たとえ分厚い鋼で出来ていようと、ある人からは壁に見え、ある人からは背もたれ付きの椅子に見え、角のところに通り抜けられる隙間があったりとか、そういうのは壁としての強度が低いと言えるはず。

では物語の強度とは、という話に戻るのだが、その物語が誰にとってもその物語である、そしていつまでもその物語であることが、ひとつの強度だと思う。あえて曖昧に表現して読者の想像に委ねる、という手法も認知されているが、それは物語のあるべき姿ではないともれは思っている。強度のある物語というのは、一見、表現のしかたが簡潔に見えても、短い文章で全体を正確に表現しているものであり、そういう文章であれば、「読者の想像」も、高い精度で揃ってくるはずである。日本では昔から短い文章が尊ばれているが、短くかつ正確に表現しているから偉いのであって、ただ短いだけで表現が曖昧なのでは全然だめである。表現が曖昧になるくらいならいくらでも長く書いて精度を上げたほうが全然マシ、ともれは思う。小説で指輪物語を読んだ人が映画「ロード・オブ・ザ・リングス」を観ると、はじまってすぐに出てくる爺さんを見てそれがガンダルフだと誰でもわかる。これは読んだ人が抱くイメージが万人の間で一致していることの証明で、もれの考え方でいくと「指輪物語に出てくるガンダルフはその造詣を高い強度をもって描写されている」ということになる。

物語の強度という話からどんどん話が逸れていってしまっているが、強制的に話を戻すと、物語がだれにとっても同じ物語であるために、理屈というものが重要な要素であると「ムーたち」を読んでいて思ったのである。感情も肉付けとして必要だが、話の強度を保とうとするならば、骨格の部分は理屈で展開されるべきだ。「桃から生まれたので強い」「きびだんごをあげたら仲間になった」これらは理屈である。「憎いから殺した」これも理屈だと思う。感情も肉付けとして必要、などと書いたが、実は感情も理屈に繋がるのだ。骨格の部分が理屈で説明されていれば、納得がいく。納得できるということは、そのままのかたちで消化できるということに繋がるわけで、曲解されることなく、物語が同じかたちを保ち続けられることに繋がるのではないか、それが強さなのではないか、と思う。

言うまでもなく、理屈と言う物は、国、地域、個人、それぞれがてんでバラバラにもっているもので、空想の物語ともなれば、奇想天外な理屈が道理となってしまうのである。「ムーたち」は舞台は我々の住むところに近い日常だが、そこに独自の理屈を持ち込むことを起点として展開する物語である。しかも、その独自の理屈を無理矢理に押し通し、最後には日常に打ち勝ってしまうところが痛快である。最終回を迎えてしまったのが本当に惜しい。

ところで…理屈が物語に強度をあたえる要素だと書き続けて来たが、一方で理屈が徹底的に無視し続け、にもかかわらず圧倒的な強度を誇っている物語がある。それがルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」である。「アリス」の話は今回はやめておくが、もれはこのさきも考え続けるけど、やっぱり決定的な結論は出そうに無いなあという気がしている。

テーマ:マンガ - ジャンル:アニメ・コミック

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