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怪影の扉

『怪影の扉』は日暮海亜さん(パプリカパーク)が書かれた本で、怪談である。第九回文学フリマで、私の『山猫』も怪談だということで一冊交換していただいた。

この本はとても怖い。同じ怪談というジャンルであるハズの『山猫』とは比較にならない怖さである。何故そこまで恐怖を覚えるのかといえば、この本の副題にある通り『実話風創作怪談』であるからなのだが、それを説明するには、反対に私の『山猫』がどうしてあまり怖くないのか、ということを説明したほうが早い。

当然のことだが、『山猫』は虚構の物語である。私はその虚構を、虚構の世界を舞台にした物語として描いた。なぜならば、怪談であると同時に娯楽作品として書きたかったからである。例えばハリウッド映画のように、怖いもの見たさで読み始めて、内容は実際怖いのだけれど、それはどこか違う世界での出来事であり、物語が終わった後は安全な現実世界に帰って来られる作品としてだ。↓こちらのtwitterで、
http://twitter.com/nankado/status/6535980878

文学フリマ入手品「山猫」:3/4くらいのところまでは古典怪談風に割とうまく行ってるんだけど、そこから後がラノベ。うまくくっついていない感じ。

という意見をいただいたが、まさに娯楽目的で書いたことが裏目に出ているのだと思う。(裏目には出ているが、ある意味では狙い通りなのだが…言い訳っぽいですな)

で、話を戻すと、『怪影の扉』がなぜ怖いかというと、『現実風』に見せる演出がなされているからである。一話が非常に短いオムニバス形式であるということ自体が、そういう演出につながっている。物語の舞台背景についての説明をそぎ落とすことで、現実での読者の立ち位置と舞台との距離が近くなる。ここがいつのどこであるかを説明する前にいきなり話が始まるので、読者は自分が生きている現実が舞台なのだと錯覚するわけである。

また、ある特殊な「無意味さ」も、『現実風』の演出として一役買っている。たとえば同誌に収録されている「ドアを叩く者一」と「ドアを叩く者二」という二つのタイトルは、その両方を収録する意味がないのではないかと思えるほど似通った内容である。また、「車窓の風景」のように、怪談ですらなさそうな、何だかよくわからない話も収録されていたりする。こういった、無意味な作品が紛れ込むことで、現実にインタビューを通じて収集した話であるかのように錯覚させ、本当に怖い話をより強く引き立てている。

私がこの本を気に入っているのは、そうした演出があくまで演出だと最初から言っているところだ。冒頭でも引用した副題『実話風創作怪談』が示す通りである。虚構の物語、エンターテイメントだと宣言した上で、それでも現実の出来事だと錯覚させ、恐怖を覚えさせようとする、読者に対して挑戦的な作品なのである。最後には再びエンターテイメントとして締めくくる演出も実に綺麗で、感服する。

テーマ:本の紹介 - ジャンル:小説・文学

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