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龍屋の鍋

秋田しんのすけ氏『龍屋の鍋』読んだ。こちらも第八回文学フリマで買わせていただいた。

SigloXX http://sigloviente.blog112.fc2.com/

2008年11月に発行されたもので、現代劇であるが、驚くべきことに私が先日の文学フリマで発表した『ピーピング・ダイアリー』と、主人公の設定が非常によく似ている。境遇も考え方も同じだ。去年の11月といえば私の小説のほうも内容は決まっていたので、秋田しんのすけ氏と私は、同じような時期に同じようなことを考えていたことになる。それを同じイベントで配布するなんて…なんという偶然だろう。

などと私はカッテに興奮しているが、傍からは「だからどうした」と思われるかもしれない。そうわかっていながらも、私はその偶然に気づいたときから、異常にワクワクしてしまったのである。主人公が就職したところから始まるのは同じだし、しかも等しくモチベーションがなく、等しくこれから先の人生に諦めを感じている。もちろん、そこから先の展開は全然ちがう(だからこそ面白いのだが。)

私の小説は、物語に沿うように主人公の人物像を決めていったら、どうやら就職させる必要が出てきたという経緯があるので、仕事に関しての描写は薄い。新人研修の場面からスタートするが、主人公は話をまるで講義を聞いていないし、職種すらわからない。仕事が辛いなんて描写もない。ただただやる気がないだけである(ダメな主人公だな。実際、主人公がダメだというような感想もいただいた。)

一方、『龍屋の鍋』は主人公の境遇自体が主題となっていて、就職先である飲食店での描写が中心の、職業小説である。過酷な労働、横暴な上司…信じられないほど辛い労働の様子が迫真のリアリティをもって伝わってくる。飲食業に就職しなくてヨカッタ…と心底思わされる。主人公はそこで戦っていくわけだが、文字通り腕力で戦う場面があったりするほか、主人公はむしゃくしゃすると人を殴りたくなる性格なので、最初から最後まで緊張感であふれている。主人公は殴りたくなるのを我慢して、ひどい状況を何とかしようと必死にあがくが、何一つ改善せず、ただ疲労だけがたまっていく。そこにはファンタジーのかけらもないのだ。

緊迫感に後押しされながら最後まで一気に読んだが、結末には不満があった。これで終わっていいのだろうか。現実はどこまでも続いていくけれど、ひとつの物語として、ここで終わってよいのか。よいような気もするし、でもなんかモヤモヤする、このモヤモヤはなんだろう…と考えてみたのだが、たぶん、主人公がなにか負けっぱなしでおわるのが、私は気にいらないのだ。社会人としてのスタートをきる、そんな始まり方をした物語で、主人公はただヤラレて、何もつかまないで終わる。ヤラれるにしろ、何かつかんで終わって欲しい。こういう展開の話なら、そのほうが良いと思うのだ。

自分の書いたものに似ているという理由で、思いばっかりを語ってしまった。私は一年くらいの周期で、物語はこうあるべきだ、みたいな思想がコロコロとかわるので、あまりあてにならないかもしれない。

テーマ:同人小説 - ジャンル:小説・文学

コメント

感想を書いてくださってありがとうございます。このように丁寧に書いてくださって感激しております!
小説って年代によって取り上げられやすい大きなテーマがあると私は思っていまして、かつての戦争だとか学生運動のように、私達の年代にとっては働く環境なのかなと思っています。

私自身、数ヶ月ほど正社員として飲食業で働いていましたので、それゆえに安直に次の職が見つかった、では深刻さが伝わらないような気がして、ラストがあのような逃げになってしまいました。貴重なご意見をありがとうございます。

『ピーピング・ダイアリー』はすいません、まだ読めていませんが、読むのを楽しみにしている本の一つですのでじっくり読ませて頂き、また感想を送りたいと思います。

ありがとうございました。

こんばんは。ご丁寧にありがとうございます。
確かに今は派遣の問題もあったりして、社会的なことをテーマにしようとしたら働く環境というのはとりあげやすいですよね。私は書き手としては社会的なことは苦手なのですが、例えば目的を見出せない学生のような精神を引きずりながら、なんとなく働かざるを得なくて就職した青年の不安定な感じとか、題材として魅力だなあと感じていまして、とりあげたりしています。
『龍屋の鍋』のリアリティは体験から来ていたんですね。最後に次の職が見つからなくて不安な感じで終わるのは、今の時代を反映していて良いなと思います。ただ、仕事をやめようとする過程のところが、この小説だと一番盛り上がるところだと思うのですが、そこで何かもうひとつあればもっと良かったなあと思うのです。環境が酷くて、彼女に逃げられそうになって、労働組合にも自分でなんとかしろと言われる。それでやめちゃうわけですけど、寝る時間を惜しんで職探しをしたり店長に歯向かったり頑張っていたわりには、なにか最後はあっさり引き下がってしまったなあという印象で、会社をひっくり返してやろうというくらいの気概でもあったらよかったのに・・・と思ったりしました。それでやっぱりダメだった、という展開なら、リアリティも損なわれないと思うのですが・・・どうでしょう。(具体的なアイデアがあるわけではないのですが・・・すみません)
私の本の感想もいただけたら嬉しいです。首を長くしてお待ちしています!

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